「すご…っ!」

野球部の噂は聞いていた。
なんか凄いんだなー、程度に。
けど。此処まで凄いなんて、思いもしなかった。








Prime.





あたしは野球のルールを知らない。
だけど、十二支が有利なように試合のルールは決められているらしく、
牛先輩とか天国が点を稼いでた。
(たぶん。)
(だってルール知らないし!)

「凄いだろ、あいつ!」
「あたし此処まで凄いとは想わなかった!」

隣に居る沢松と喋る。
あたしが数学勉強している間に、あいつは成長したんだな、なんて。



「っていうか何やってんだ、あいつ。」
「え?」



沢松の目線の先を見る、と。



「そんな所で高みの見物できる状況かよ!」
そういって、華武のベンチでガムの人と口論している天国。
あーあ、また問題起こしてるよ。




「ちょ、どうするんだよ!やばくないか、あれ!」
「そーだねー。」

そう言いながらあたしはポケットからコンパスを取り出し、天国に向かって、投げた。

ヒュッッ!

天国の頬を掠める、コンパスの針。

「ちょ、!お前、当たったらどうするんだよ!っていうか頬掠ったし!血でてるし!」
「っていうかそんなことより、お前がコンパスを携帯してる事がすげえよ。」

騒ぐ天国と突っ込む沢松を無視していたら、ガムの人と目が合う。



「…変な、女。」






ぽつりと呟かれた言葉を無視して、あたしは口を開いた。


「ガム噛みながら喋ると、舌噛みそうになりません?」
「(なんだこいつ)あー…少しなるな。けどオレプロだし。」
「そうですかー。やっぱりガムを飲み込むのは邪道?」
「まあ邪道だな。ガムは飲み込むものじゃねえ。噛むものだ。」
「数学は見るものではなくて解くものですよ。」
「知るか。」




そうやってガムアンド数学トークで盛り上がってるあたし達。
暫くその会話が続いた、時だった。




「お前、良く見れば結構いい女だよな。」



(あれ、あたしもしかして口説かれてる?)



































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